2018年10月にリリースした中国アリババのP2P医療互助サービス「相互宝」は、約一年後の2019年11月に加入者数が1億人を超えました。本記事では、アリババが相互宝による集客で成功を収め、その結果として自社の保険仲立人への送客を強化した経緯を説明します。
相互宝が加入者に与えた影響
ファイナンシャル・タイムズが中国人に対し実施した調査によると、相互宝の加入者の約3割が、今後6ヶ月以内に特定疾病保険に加入する可能性について、「可能性は非常に高い」と答えました。特に、一線都市(※)の場合は、55%となりました。
(翻訳版)
※中国の都市は、都市規模、国内総生産、交通、国際化などという基準で分類されている。「一線」とよばれる都市はランクが一番高い。
さらに、2018年10月に相互宝をリリースして以来、2019年6月までに、アリババの金融子会社であるアント・ファイナンシャルの取扱医療保険の売上は60%増となりました。
P2Pの仕組みによって恩恵を受けていう企業はアリババだけではありません。例えば、テンセントに出資された水滴会社が挙げられます。この会社は、P2P医療互助サービス「水滴互助」を提供しています。この保険に加入している1億人以上に向けた保険仲立事業「水滴保険商城」は、年換算保険料が2018年3月の1千万中国元から2020年1月の10億中国元に100倍以上急増しました。
P2P互助サービスがドアオープナーとして活用され、取扱う他社の保険にも加入してもらうという狙いがあると考えられます。中国の場合は、請求者の基本情報や診断結果を含む情報を開示し、保険料の使い道を加入者に知らせることで、保険加入が必要だという意識がより高くなると考えられます。
シームレスに医療保障の上乗せを提案
たとえば、相互宝では、保険請求者全体における年齢や疾病種類といった情報の割合が公開されます。同一画面で、医療保険が上乗せプランとして提案され、加入者は同一アプリ内で申し込みを完結することができます。
まとめ
当社は、日本初展開のP2P保険「わりかん保険」を広めることで、保険に加入する必要性を促すことができるのではないかと考えています。そのために、がん保険だけでなく、多様なニーズに応じた保険商品を今後提供していくことを目指しています。