世界の保険xテクノロジーのインシュアテックシーンで、チャットボットの活用が増えています。チャットボットとは、チャット(対話)とロボットを組み合わせた言葉で、人口知能(AI)を活用し、自動で会話を行うプログラムです。今回は、世界のインシュアテック企業で活躍するチャットボットを集めてみました。
レモネードのAIジム
家財保険スタートアップのレモネードのAIジム (AI Jim)は世界で一番有名な保険金請求チャットボットでしょう。チャット画面の写真は実在の中年の社員ジムさんですが、中身はAIです。
簡単な案件はAIのジムが独力で支払い、難しい案件は人間に投げます。AIジムはどんどん難しい案件を処理できるようになり、2018年には百万ドルの保険金支払いを人の助けを借りることなく行い、最近、「上級AI保険金マネージャー」に昇進したそうです。
AIジムがまだしがない「保険金請求アシスタント」だったころにAIであることのツラミを語ったブログ記事。
引用元:https://www.lemonade.com/blog/the-empathetic-bot/
ネクストインシュランスの中小企業向け保険チャットボット
中小企業向けにテイラーメイドの保険を販売するネクストインシュランスにはフェースブックメッセンジャーで最適な保険選びをサポートするチャットボットがいます。
企業向けとあって、特に人間の姿や名前はないようです。画面を見ると、選択肢が次々に現れて、それをどんどん選んでいくことによりプラン設計ができる、というチャットボットとアプリのいいところどりのような仕組みです。
プログレッシブのフロー
自動車保険のプログレッシブはスタートアップではなく、1937年設立の老舗です。10年以上前から、女優さんが演じるフロー(Flo)という架空の営業職員の女性のキャラクターがいて、テレビCMなどに登場していました。フローはフェースブックに自分のページを持っていて、2017年末から、フェースブックのメッセンジャーアプリでフローとお話して、自動車保険の見積もりを出してもらえるようになりました。
フローのfacebookページに「いいね」している人は460万人いますから、名実ともに最強の営業職員です。 生身のFloのCM 「選び放題❤️」
メトロマイルのエイヴァ
走行距離に応じた保険料の自動車保険を提供するメトロマイルにはエイヴァ(Ava)というAI保険金査定アシスタントがいます。しかし、チャットボットの姿はしていません。エイヴァは車に搭載した運行状況を把握する端末とデータ通信して、事故や被害の状況を把握し、保険金額を自動で査定、最短で数秒で支払いを行います。
エイヴァだけで処理できない場合は人間につなぎます。チャットボットの未来はチャットボットと人間が対話する必要さえない、という世界かもしれません。 自動車を衝突させてエイヴァにデータを与えて学習させる。
引用元:https://www.metromile.com/blog/new-ai-claims-assistant-ava
保険へのチャットボット活用が注目される背景
このようにチャットボットの活用が増える背景としては、UXとコスト面での利点、そして技術が追いついてきた、ということがあると考えられます。
UX面の利点としては、チャットボットの質問に答えるだけでよいので、契約者からみて導線がシンプルになり、保険申し込みや保険金請求の途中で迷子になったりすることを防ぐことができます。書類やフォームへの記入やアプリの操作だと、画面ごとに操作が違ったり、わからなくなることがありますが、チャットボットにはメッセージを送るだけなので、それもありません。
もちろん、そういった操作を生身の人間がガイドしても良いのですが、それではコストがかかり、特に単価の低い商品や、24時間365日対応するには、割にあいません。チャットボットを活用することによりコスト削減が可能となります。
そして、深層学習などの最新のアルゴリズムを活用することで、生身の人間なら当然のように理解できた、曖昧な言葉から的確に意図を読み取ったり、多言語を理解したりできるチャットボットが開発できるようになりました。
justInCaseの取り組み
justInCaseは東京金融賞2018「都民ニーズ解決部門」に「保険金請求の手続きが煩わしい」という都民の皆様の声に対して、スマホアプリのチャットボットで契約から保険金請求までを完結させるというソリューションを提出し、第1位に選ばれました。
2019年中に商品開発済みのケガ保険でローンチ予定です。当社のアプリだけでなく、他の保険会社様や保険代理店様のアプリにもAPIで組み込み可能になります。お楽しみに!