東京海上ホールディングス株式会社や楽天のフィンテックファンドに出資されたsimplesuranceは日本を最初としてアジアに展開ました。
ドイツのinsurtech企業であるsimplesuranceは、事業会社向けの保険プラットフォームを提供しています。
この記事では、simplesuranceの事業概要や海外導入事例を解説します。
日本にきたsimplesuranceって何?
2012年に設立されたドイツのinsurtech企業であるsimplesuranceはヨーロッパを中心として29か国で活躍しています。
2018年10月に東京海上ホールディングス株式会社 (以下、「東京海上」)はsimplesuranceに出資し、業務提携することを発表しました。
また、2017年に楽天のフィンテックファンドもsimplesuranceに出資しました。
東京海上との業務提携には、東京海上が延長保証、海外旅行保険、傷害保険などの自社商品を、Eコマースサイトや様々なウェブサイトと提携し販売したいという意図があり、そこで保険APIを使うことにより保険がクロスセルできるというsimplesuranceとの提携に至った背景があります。
eMarketerの推算によると、日本のEコマース規模は世界のトップ5に入っています。
さらにeMarketerのグラフを見ると中国が1位に、韓国5位にランクインしており、世界の流通総額の3/5がアジアで占められています。
一方、多くの中国のEコマース企業では、すでにシームレスに様々な保険商品がクロスセルされています。
例えば、中国の旅行予約サイトのCtripでは、旅行内容を選び、ユーザーの情報を入力すると、旅行保険、ケガ保険や航空機遅延保険などの、様々な旅行と関連性がある商品の加入ができます。
そのため、すでに保険クロスセル市場が大きくなっている中国に参入するのは非常に難しいと言えます。
そこでsimplesuranceにとって、参入が難しい中国よりも、日本を開拓しようと考えているのではないでしょうか?
保険クロスセルにつながるプラットフォームの活用
旅行予約サイトや自動車レンタルサイトでサービスを利用する際に各サービスの関連保険への加入が世界で普及している一方で、simplesuranceは、Eコマースサイトまたはモバイルアプリでモバイル端末の保証保険の販売を中心としたサービスを展開しています。
simplesuranceの保険クロスセルにつながるプラットフォームは、以下の特徴があります。
- クロスセルのためのプラグインがシームレスにチェックアウトプロセスに組み込まれる
- 保険会社の保険商品をEコマース事業者が自社商品として、Eコマース事業者のウェブサイトの外観に統合、つまりホワイトラベル化が可能。
- キャンペーンや販売後のセルフサービスなどのソリューションに対して柔軟に対応できる
- プラグインのインストールが無料で、プログラミングサポートを提供
- 保険加入から保険金請求まですべてオンラインで行える
simplesuranceを導入した海外の事例
海外では、simplesuranceはアリアンツ保険会社と提携し、同社のスマホ保険等の商品をスマホメーカーのOnePlus、中古店のreBuy、楽天グローバルなどのEコマースサイトに導入しています。
以下、OnePlusにおけるsimplesuranceのスマホ保険クロスセルソリューションを説明します。
Eコマース事業者:OnePlus スマホ (https://www.oneplus.com)
保険会社:アリアンツ
保険商品:スマホ保証保険
加入条件:購入から30日以内に限り加入可能
- チェックアウト画面でスマホ保険の選択を表示
- 詳細をクリックすると保険商品詳細が表示される
- 保険を選択してから、個人情報がsimplesuranceと共有され、保険料とスマホ注文の金額は別々に払われる
また、イギリスのモバイルバンキングアプリであるRevolutでは、2017年9月からsimplesuranceのスマホ保険が取り扱われています。
RevolutのCEOによると、Revolut利用者の8割は高額なスマホを使用した経験があります。
おわりに
業界を問わず、オンライン販売を運営する事業会社は、保険APIプラットフォームを活用し、自社の商品と関連性がある保険商品をクロスセルすれば、保険販売手数料が新しい収益として得られます。
事業会社と保険会社は双方にとって有利なビジネスではないでしょうか?