P2P保険の特徴を分類しましょう!

以前P2P保険の様々な海外事例について紹介しました(記事末尾を参照)。本記事では、日本の事例を含めてP2P保険の仕組みや特徴についてまとめて分類します。

P2P保険の国内事例

わりかん保険

justInCaseのわりかん保険は、誰かががんになった時、契約者全員で保険金をわりかんする日本初の助け合いの精神をモットーとするP2Pのがん保険です。
わりかん保険の毎月の保険料は、一般的な保険のような前払い制ではなく、前月のがんになった人の数によって決まり、保険金の支払いがなければ、ゼロ円となります。
契約者数が増えると、保険料に占める管理費の割合が下がります。
契約者数が1,000人の場合、保険料に占める管理費は35%となり、契約者数が20,000人の場合、25%となります。
また、毎月の保険料に年齢によって上限が設定されており、被保険者の年齢が20~39歳は500円、40~54歳は990円、55~74歳は3,190円です。

Frich

Frichは、SNSで繋がっている仲間同士で共済グループを作ることができるP2Pプラットフォームです。
2020年4月現在では、返品送料保険とスポーツ保険への加入が可能です。
Frichに登録した会員は、共済グループを運営する「オーナー」もしくは共済グループに参加する「メンバー」になります。
オーナーは毎月メンバーから受け取る掛け金からFrichへのシステム利用料金や保険会社への保険料を支払います。
保険金の請求が行う場合は、オーナーにて保険金の内容等を確認次第、保険金を保険会社から支払われます。
当月無事故であれば、グループのメンバー全員は翌月の掛け金が割引になります。

P2P保険の海外事例

中国:相互宝

相互宝は、アリペイという決済サービスの利用者を対象にし、誰かががんや急性心筋梗塞等の重大疾病であると診断された時、保険金を全員で分担するサービスです。
加入条件の1つは、同社のアリペイの支払い履歴等によって個人信用評価を数値化した芝麻信用スコアが600点以上であることです。
相互宝は、毎月2回保険金の請求案件を公表し、契約者同士に審査させます。
審査が通過した保険金に、保険金の8%の管理費を上乗せさせ、契約者に保険料の支払いを求めます。
保険金の請求が行われない場合は、保険料がゼロ円となる一方、保険金の支払いが増えれば、契約者が支払う保険料も増えます。
1年の保険料には、188中国元(約2,900円)の上限があります。

中国:水滴互助

水滴互助は、もしものことがあった時に保険金を契約者が均等に負担することができるP2Pプラットフォームです。
水滴互助では2020年4月現在、重大疾病保険とケガ保険を提供しています。
契約者は加入時にデポジットを支払い、相互宝と同様に計算される保険料を毎月4回デポジットから引き出します。
残高不足の場合は、デポジットをチャージする必要があります。

米国:Lemonade

Lemonadeは、家具破損等を補償する家財保険や居住者を対象にした個人賠償責任保険をP2Pの仕組みによって提供しています。
保険料の内訳としては、Lemonadeの運営費が25%、再保険の手配と自家再保険、いわゆるリスクバッファーとして約35%、Givebackプールが残りの約40%となります。
保険金を支払った後にGivebackプールの剰余金があれば、Lemonadeは契約者が選択した非営利団体へ寄付します。

ドイツ:Friendsurance

保険仲立人のFriendsuranceは、契約者が知人またはFriendsuranceを仲介した他人と作った、最大10名のグループに対し、P2Pの家財保険や自動車保険等を販売しています。
Friendsuranceは保険料の一部をプールし、保険金を支払う時にプールした資金を使います。
プールが枯渇した時には、Friendsuranceの連携保険会社が保険金を支払います。
前年度の保険金支払い実績次第では、保険料が最大5割引になります。

P2P保険の分類のまとめ


※中国には他にも類似のスキームがいくつかあります。
1Didiの点滴出行、蘇寧の寧互宝、美団の美団互助、中国平安の歩歩奪宝(ただし、管理費用が前払いとなります)等
2悟空互助、壁虎互助、軽松互助等

P2P保険のグループの組成は、多人数・少人数に分類されます。
justInCaseや相互宝等の多人数グループは、見知らぬ人々が集まり、リスクによって分けられ、
SNSや知人から成る少人数のグループと比べると、多くの異なる社会圏の人々の集まりであるため、リスクの分散効果が生み出せます。
一方で知人とリスクをシェアする少人数グループは、知り合いに対する責任を持ち、事故を防ごうとする傾向があります。
また、P2P保険の保険料支払いは、事前と事後の2つがあります。
保険料支払いが事前の場合は、保険金支払いの実績により、残りのプールした保険料が契約者にキャッシュバックされます。
もしくは契約者が選択した非営利団体に寄付されることもあります。
保険料支払いが事後の場合、保険料は保険金を支払った後に決まり、運営会社の利益は契約者数ではなく、保険金の請求件数によります。

justInCaseは、まだ対応してなかった必要なニーズに応じるように、以上のP2P保険の分類に鑑み、がん保険にとどまらず、多岐にわたるP2P保険商品の開発を展開していきます。

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