近年、多種多様な健康増進型保険が続々と登場しています。
健康増進型保険とは、健康に関する所定の基準を満たすことで、保険料の割引や還付金の支払いや保険金額の割増がある保険商品です。
本記事では、国内外の健康増進型保険事例を踏まえ、各仕組みや特徴についてご紹介します。
健康増進型保険の国内事例
住友生命 Vitality
住友生命は、2018年に南アフリカのDiscoveryが開発した、健康診断や運動等の取組みをポイント化して評価するVitality健康プログラムに連動した医療保険をリリースしました。
契約者はVitalityの累計ポイントに応じて、複数のステータスに分けられます。
1年目の保険料の割引率は15%と定めされており、2年目以降の保険料の割引率は契約応当日の1年前の累計ポイントとステータスに基づいて判定されます。
Vitalityは対面チャネルで販売されており、契約成立後契約者はVitalityのアプリに登録してから、健康プログラムの利用を開始します。
アプリではアクティビティや累計ポイント等の情報を見れます。
justInCase 歩くおトク保険
2020年9月に発売したjustInCaseの「歩くとおトク保険」は、歩数とBMIにより保険料割引額が毎月変わる、スマホ完結型の医療保険です。
毎月の保険料割引額は、スマホアプリが計測した前月の平均歩数と、専用アプリ上で提出された身長・体重から算出されるBMIで決まります。
例えば、40〜44歳男性の場合、 割引前保険料が月額1,900円のところ、前月の歩数8,000歩、BMI 22で割引額は380円、20%割引となります。
専用アプリ上では、契約者が常に自分の歩数記録や予想保険料割引額を確認できます。
アフラック生命 健康応援医療保険
アフラック生命が2018年に販売を開始した、オンライン専用の「健康応援医療保険」は、健康年齢が実年齢より低ければ、1年に1回保険料の一部を健康還付金としてキャッシュバックする保険です。
健康年齢は、年齢、性別の基本情報と身長、体重、血圧等の健康診断結果を基に算出されます。
健康還付金の金額は契約時の年齢、性別により決まります。
例えば、40歳男性の場合、月額保険料は3,309円、健康還付金は3,400円となります。
ネオファースト生命 ネオde健康エール
第一生命グループのネオファースト生命は、2017年から健康年齢に基づき、保険料が決まる「ネオde健康エール」を対面で販売しています。
ネオde健康エールは、健康年齢が若くなるほど、月額保険料が安くなるという仕組みで、健康状態が保険料に反映されます。
例えば、40歳男性の場合、健康年齢40歳で月額保険料は1,782円、健康年齢35歳で月額保険料は1,514円、健康年齢45歳で月額保険料は2,162円となります。
健康年齢は3年ごとに算定され、範囲が18歳から実年齢+5歳まで設定されています。
東京海上日動あんしん生命 あるく保険
東京海上日動安心生命の「あるく保険」は、歩数の目標に達成すると保険料の一部がキャッシュバックされるという保険商品です。
契約者は、6ヶ月ごとの1日平均歩数が8,000歩以上であれば、還付金を2年後に受け取れます。
対面チャネルを通じて契約が成立すると、契約者はアプリもしくはカロリススキャンというデバイス等の計測機器を使い、平均歩数を計測します。
アプリでは、歩数のチェックや体重・睡眠管理等のヘルスケアサービスも利用できます。
健康増進型保険の海外事例
中国の平安健康 i康保・百万医療
中国平安グループの子会社である平安健康のアプリでは、ヘルススコアに連動した医療保険「 i康保・百万医療」を販売しています。
健康診断や運動等の取り組みをヘルススコアとして数値化し、30日ごとのスコアが高いほど、保険料の割引率が高くなります。
例えば、スコアは1日あたり8000歩で4点、1ヶ月ごとに顔写真をアプリで撮影することによるBMI計測で3点上がります。
中国の衆安保険 歩歩保
中国の衆安保険のアプリでは、歩数に連動した医療保険「歩歩保」に加入できます。プランは以下2つあります。
- 保険料支払いが不要なプラン。歩数によって保険金は最大50,000中国元まで無料で増額されます。18〜40歳の場合、100歩あたり1中国元の保険金が増額されます。
- 保険料支払いが必要なプラン。1日歩数が8000歩以上となった日数に応じて、毎月キャッシュバックされます。
アメリカのAvibra
アメリカのAvibraのアプリでは、ライフスタイルに連動したマイクロ保険を提供しています。
Avibraのアプリに搭載されているAIが、ユーザーの運動状況や音楽鑑賞、クレジットカード利用状況等の様々なユーザーの生活習慣のデータを分析し、週ごとに保険金を無料で増額します。
健康増進型保険、スマホで完結時代へ
日本の健康増進型保険では、様々な仕組みが活用されていますが、スマホ完結型の事例は少ないと言えます。
上記の国内外事例に鑑みると、保険の加入からヘルスケアサービスの利用まで、一貫してスマホで行う健康増進型保険の特徴としては、3つが挙げられます。
- 健康増進による保険料の割引等のリワードが日・週・月ごとにもらえる
- 保険と連動した健康増進の取り組みが多様化
- 保障を上乗せすることが可能
様々な健康活動のがんばりを評価する健康増進型保険によって、人々が健康な人生を手に入れることができるのではないでしょうか。